世界で一番推しが好き!

たのしいおたくのせいかつ

舞台「刀剣乱舞」綺伝 いくさ世の徒花

(概ねネタバレしてます)

明治座行ってきたぞー!!

おのぼりさんみたいに幟の写真撮りまくりました(ダジャレか?)。写真では見てたけどあれめっちゃテンションあがりますね。推しの名前の幟、めちゃくちゃ感動した。

 

座席は2階席の左ブロックだったので花道がまるっと見えなくて、一応その死角をカバーするモニターが客席の端に設置してあるのですが、そのモニターに映る範囲は舞台上もマジで全く見えない。カテコの古今さんの存在が消えた。多分演出もギリギリ顔が見える範囲で立ち位置が考えられてるんだろうなっていうことは分かったけれど、でも顔しか見えないんだよ!!!下手端で殺陣やられると顔しか見えないし、左ブロック最前の人にちょっとでも身を乗り出されるとかぶるし、こんなに見えない席で1階席と同じ金額払ってんのか……ってなんともいえない気持ちになった。

愚痴多いな。会場はロビーも広いし座席もマチソワ観ても全然おしりも痛くならなかったし良い会場だったけど私の席運が悪すぎたという話。

 

 

OPの「西暦二二〇五年~」ってナレーションと映像が流れて、あ~やっと綺伝が、この本丸での物語が観られるんだってめちゃくちゃぐっときたし、刀剣男士たちの「刀剣乱舞 綺伝、いくさ世の徒花」ってタイトルコールもなんかめっちゃ泣いてしまった。

科白劇とどれだけ違うのかなと楽しみにしてたけど全然違ったわ!マジでどこ同じだったっけってくらい違った。作中でも触れられていたけど歴史上の人物たちの人となりにも少しずつブレが出てる。科白劇見なくてもわかるようにちゃんと作られてはいるけど、一度科白劇の物語を知っているとその「淀み」の部分をちゃんと確かめたくなった。科白劇もう1回ちゃんと見返したいな。

科白劇とばっかり比べるのも良くないけど、科白劇では語られなかった部分(厳密に言うと他本丸の話だから語ることが出来なかった部分かな)が細やかになっていて人間関係や登場人物の気持ちが分かりやすかったように思いました。行平がガラシャを連れ去った理由、科白劇のときはちょっとよく分からなかったけど、歌仙も同じく、持ち主の持っていた想いが刀に映るっていうのかな、忠興がそのまま行平と歌仙に映っているように私には見えた。それこそ忠興とガラシャの「憎くて憎くて愛おしい」という想いって、ただ愛おしく思うそれよりもずっと暴力的で荒々しくて強いものに見える。だからこそその強い思いが二振りに映っていたような。

右近が忠興を刺してしまったシーンは呼吸が止まったけど、やっぱり右近好きなんだよな……ガラシャにとって忠興に殺されることは何よりも赦しだったのに、右近にはその「憎くて憎くて愛おしい」という2人の想いだけは理解できなかったというか、まぁ推しカプ(推しカプ言うな)が目の前で殺そうとしてたらそりゃ咄嗟に止めなきゃってなるよなわかるよ推しカプにしんでほしくないもんな。忠興とガラシャには2人が大好きだった右近すら理解できない2人にしか分からない愛があった、それだけのことなんだけど、右近の「あの2人が大好きだった!」っていう少し稚拙にも感じるような歴史を憎む叫びが悲しかった。2人が大好きだったから2人が上手く行くように、幸せになるように右近が立ち回ったことが全部裏目に出ちゃったし忠興には浮気疑われるし……2人の最期の瞬間を右近に見てほしかったなぁ。

忠興とガラシャの「憎くて憎くて愛おしい」を今回長義と朧まんばの戦いに重ねてきたのもめっちゃよかった。長義とまんばちゃんにしか分からない。誰にも理解しきれない、複雑で荒々しい感情。長義も孝高と話した時から何よりも強い感情を見せていたし、時間遡行軍との戦いの比じゃなかった。私は特に長義とまんばちゃんの関係に詳しいわけではないけど、それでも長義がまんばちゃんに抱いてる感情、彼がいない本丸にどういう気持ちでいるのか、全部教えてくれた。彼がこの先の物語のもうひとつの軸になるだろうことも。私でもかなり手汗握って泣きそうになったから長義や2人のオタクどういう気持ちで観てたんだ……ってそっちのほうが心配になってしまった。

ていうか長義、なんかずっと面白くてすごい笑顔で見守ってしまった。ああいうお高くとまってるのにちょっと隙が多いタイプ、可愛いよね。みんな好きになるわ。右の頬を差し出したら~のくだりが今回もあって大喜びしたし、ソロ殺陣のシーンは講談師さんの「誰だ誰だ誰だ?!山姥切長義だ~!!!」って声が聴こえてきて満面の笑みになった。長義……面白くて好きだな………。私が観た日、EDで番傘の調子が悪くてソワレで傘が逆さまに開いちゃって私が大変だった。すごいカッコいい顔で逆さまに開いた傘持ってるから推しの番傘に泣いてたのに全部涙引っ込んで長義しか見られなかった。いやカッコよかったんだけどカッコよかったから余計にそういう隙を見せられるとさ…笑顔になってしまうよね……長義めっちゃ好きになってしまった。

 

科白劇の時からなんでこの編成なのかなって思ってたけど、綺伝になってその理由がわかる描写があったのも良かった。細川の刀として歌仙や篭手切江がいるのはそうだし、他の刀もみんな、今回の物語を理解できる物語や信条を持っている刀だったんだな。

そういう物語に対する刀たちの想いもそうだし、歴史上の人物たちの必死に抗って生きようとする気持ちもより強く描かれているような気がした。天正遣欧使節の存在とか、右近の言動とか、慶長熊本がキリスト教の教えのもとにできた国であることも色濃くなってたし、より深く、より強くなった分、淀みや歪みも大きかった感じなのかな。

まぁ~黒田孝高マジでお前なんなの?????????って感じだけど……先に観てた人たちみんな何て??ってリアクションだったけどマジで何て?????なんだよな。ちょっと仰ってることの意味がわからないです…………。

今回義伝とジョ伝見返してから観たから理解できた部分もあるけど、多分これ慈とか悲とか維の伏線だ~~ってなったこともめっちゃあったのでなんかもう全部見返さなきゃじゃん……の気持ち。マジで孝高なんなの???(2回目)

 

 

こっから推しの話。

なんだろうな~前もブログに書いた気がしますが、推しの2.5舞台での役の作り方って、推し自身の上にキャラクターを乗せていってるイメージが私にはあって、推しらしさとか推しっぽいお芝居はそのままに演じてる印象をいつも持っています。それが良いときもあるしダメなときもあるからまぁ良し悪しだなとは思うんですが、亀甲さんは科白劇の時も思ったけどその重なった部分がすごく上手く混じりあってる感じがあって、推しなのに推しじゃないみたいな。推しらしいお芝居はそのままだけど上手に推し自身が消えてる瞬間が結構あるなぁという印象がある。この辺の上手な表現がまだうまく見つけられない。科白劇のときよりも亀甲さんが馴染んでる気がして、私は亀甲さんって結構テンション高めのイメージがあるから推しの亀甲さんってちょっと大人しすぎるというか落ち着きすぎてる印象があったんだけど、今回は割と亀甲さんの亀甲さんぽさが出るときのテンションが強め(高めではなく強め)になってる気がして可愛かった。普段は落ち着いていてクレバーだけど、性的嗜好が出る瞬間こそ亀甲さんらしい感じが出ててそのギャップが強くなってたのがすごくいいな~と思いました。

あと推し~~~~~~殺陣がうますぎて最高~~~~~~!!!!!!!動きが良いのもそうなんですけど、推しの殺陣ってひとつひとつの動作の緩急のメリハリがすごく上手くて、浅く斬る、深く斬る、軽くいなす、強く踏み入る、ひとつひとつがすごく分かりやすくて、だからこそ強い攻撃のときの強さが際立って本当に強く見えるんですよね……推しの殺陣見ながらここがいい!ここがいい!ってひとつひとつ言いたい。好きなのは市中戦なら最初のカメラがぐるっと回るときに体の回し方がブレないのにスピードぴったりで本当にカメラが追随してるように見えるところと、そのあと深く沈んで刺すところの強い感じがマジで好きだった。あのシーン、長義もそうだけどめっちゃ刀剣乱舞無双すぎて良かった。亀甲さん出てないのに刀剣乱舞無双だった。

あと真剣必殺!!!!!!!!あるといいな~あるかな?いやないかもしれないでもあったらいいな~くらいの気持ちで行ったんですけど、初っ端で出てきたとき一瞬理解できなくてパニックになっちゃった。オペラグラス持ってくればよかったってめっちゃ後悔した……でも首元がちゃんとピンクだったから紐…あるじゃん………(それはあるやろ)亀甲さんの真剣必殺衣装、脱がないところが最高に好き(極は脱ぐが)。黒シャツに白ベスト似合ってて最高~!!!!ってテンションあがったし、真剣必殺になって動きのスピードがめちゃくちゃ上がるのも良すぎて観ている間呼吸も忘れた。

亀甲さんって基本的に物腰が柔らかでおっとりしてる感じだけど、今回殺陣はそれに倣ってなめらかというよりはギャップを感じさせるような強くて速くて、推しの良いところが存分に発揮できるような殺陣になってて本当に最高だった。殺陣こそ回数を重ねるごとにブラッシュアップが良くわかるところだと思っているので、今の時点でこんなに良かったら大千秋楽とかどうなっちゃうの……って今から楽しみすぎ。感想書いてるだけでテンション上がってきた。推しの殺陣大好き。

あとアップの自撮りを昨日やっとあげてくれてたけど、科白劇とメイクも変わってて可愛くなってた。科白劇のときは元の釣り眉がそのままだったけど、今回は流行の平行眉になってて色味もちょっと柔らかくなった気がする。ウィッグは科白劇のもうちょい丸みがある感じがよかったけど、5周年本でメガネとマイクとフェイスシールドで耳回りが大変だったから云々、って話を踏まえるとそれありきの丸みだったんだろうな。まぁ顔が好きなのでなんでも大丈夫です。

EDでやっと番傘持ってる姿見られたのもうれしかったな……刀ステといえば番傘ってのもそうだけど、やっぱり役名書かれた番傘持ってるってエモいじゃないですか。刀ステに出ることの象徴みたいな感じなんですよね私にとって。2年前に決まったときからずっと早くその姿を舞台上で見たいと思ってて、劇場版で他の作品を見てやっぱり同じ気持ちになって、今回やっと、推しが亀甲貞宗として亀甲貞宗って書かれた推しだけが持つことの許される番傘を手にしてる姿が観られて、本当にうれしかったし泣くだろうなって思ってたけどやっぱり涙が止まらなかった。本当にうれしかった。なんか改めて亀甲貞宗は推しだけの役なんだなって実感をすごく感じて、こんな明治座みたいな大きな劇場でその役をもらって立ててるんだってことも、推しすごいなぁって思ってめちゃくちゃ泣いてしまった。まぁソワレは長義の番傘が心配過ぎて涙全部引っ込んじゃったけど……。今回のED、歌仙とガラシャの演出もそうだし何かすごくしっとりとしてて好き。全員出てきて番傘広げたら密度がすごいけど。

 

なんかまだ感想書ききれてないところがある気がするんですけど、配信もあるし大阪公演も観るので思い出したらまた書きます。配信、マチソワ買ってもチケットの半額以下で安すぎてびっくりした。

科白劇も見返したいんですけど、今週また現場が詰まりすぎて私が大変。2月とか全く予定なかったのに3月の最終週に全部集中してる。最初本当は今日広島の現場があったんですがチケット取れなくて、でも取れてたらマジで私の体力が死んでたので神様が調整してくれたのかな……。予定、分散してほしい。

山田ジャパン「不安の倒し方について」

今回会場が新宿だったのでバスタで降りたら移動せずに済んで楽だな~と思ってたら、生まれて初めて夜行バス乗り過ごしました爆笑。東京駅まで行った。

今までは首都高入ったくらいに何もなく目が覚めて準備して降りれてたのが奇跡だったのかもしれない……帰りは普通にバスのアナウンスで目が覚めて無事に帰れたけど次乗るの怖いよー!!どうでもいい話。

 

 

新宿シアタートップス、初めて行った劇場だったけど、あのビルが立ち並ぶ中の雑居ビルの中にある感じ、めっちゃ東京の小劇場だー!となった(田舎者か?)。傾斜はあれど、やや緩やかなので真ん中くらいだとちょっと前の人の頭がかぶることがあるかな、くらい。でも舞台に集中してたら気にならなかったです。清潔感もあって結構好きな雰囲気だった。

 

 

 

 

都会の喧騒を離れたとあるキャンプ場が舞台のワンシチュエーション会話劇、といった感じでした。HPに書いてあったストーリーだけだとどんなお話なのか全く想像がつかなかったけど、蓋を開くと人のイヤな部分とかが結構出てきて共感もするけどだからこそ抉られる部分も多いんだけど、コメディタッチのノリやテンポで上手にマイルドにしてあって、たくさん笑いもあって、主題も押しつけがましくなく、すごく面白い作品でした。

小劇場のこと好きでも嫌いでもないけど、舞台によったら主題のメッセージ性が強すぎて不自然だったり押しつけがましくなっちゃうところがどうもなぁ…って首をかしげてしまうことが多いんですけど、今回は本当にそういうのが全くなくてイヤだなぁって思う部分にも救いとかスカッとしてくれる部分があって、結局何が解決したのかと言われると何も解決はしてないんだけど、少しだけ前向きになれて、良い気持ちで楽しかったな~!って思える終わり方なのがすごくよかったなと思いました。

 

キャンプ場には矢部さん演じる圭悟という青年がひとり、よく月や星を見に来るという老夫婦が一組、そして大学からの仲間で立ち上げた会社の同僚たちが来ていて、その会社の同僚たちの会話がまぁ~エグイんだけどめっちゃあるわこういうの、なんですよね。会社は社長の石田のワンマンみたいなもので、石田も強引で不遜で圧が強くて弁も立って、決して好かれるタイプではないけど周りのみんなが上手くやろうとして石田には何も言わずに何となく我慢とごまかしを重ねながら10年くらい経ってる感じ。その人たちが入れ替わり立ち代わり、こっそり不満や悪口を零すところをすぐ隣にテントを立てている老夫婦と圭悟くんはついつい聞き耳を立ててしまう。老夫婦は実は月や星よりもそういう会話を聞きたくてキャンプに来ていて、圭悟くんを巻き込んでいくわけなんですけど、ここ3人の会話のテンポがすごく良くて、同僚たちの会話にウワ~~~ってなっても老夫婦が「素晴らしいほどの不協和音だね」「ええ、フィルハーモニーです」って満面の笑顔で言ったりするから笑っちゃってイヤだな~って思ってた気持ちがリセットされるというか。劇中に、女の子を口説くために悪口を言って、そこの価値観同じですよって示して距離を縮めようとするのって最低のやり方ですよ!ってセリフがあったけど、それと同じ感じというか、私たちがあの会話に思った悪口を大体3人が同じことを思って尚且つ面白おかしく代弁してくれる、いいクッションだな~と思った。

圭悟くんは会社も辞めて、人間関係も全て断ち切って、何もかもを捨ててソロキャンプに来た人で、老夫婦との会話の合間に圭悟くんに何があったのか過去が語られていくんですが、キャンプに来ていた会社の社長である石田と圭悟くんの過去がめちゃくちゃ重なるんですよね。過去の圭悟くんは石田そっくりで、明るくて、仲間もたくさんいて、頼られて、自信家でそれを支える実力もあって、だけど実は裏でそういうところが全部嫌われている。キャンプの間、同僚たちはそれぞれ石田や他の仲間のことどう思ってるかみたいなことを話すくだりがあるんですけど、その中で石田は石田自身がみんなのことどう思ってるかは一度も話すシーンがないんですよね。(西くんもそうだったけど彼はこの話におけるイレギュラー的存在だったし)でも、圭悟くんの過去と重なることで石田が不安と戦いながら、みんなとなんとか上手くやろう、上手くやれるって信じながら、でも自分自身を変えられないまま歩いてきて、今もそうであるのが分かってしまうんですよね。まぁ石田や圭悟くんにだってたくさん非はあるけど(あぁいうタイプにありがちな高圧的で上から目線で強引なところとか)。でもきっと石田にも圭悟くんみたいに生きてきた経緯があって、圭悟くんにも石田みたいな仲間がいて、っていうのは素直に想起できる。だから悪いとも言い切れない、ってところがさ~~憎いんですよ。石田がマジでクッソ腹立つイヤなタイプだから余計に。カヌーにクレーム入れるくだりとかスタッフのお姉さんがかわいそうすぎてお前らが止めないなら俺が石田を殴ってやるよ!!!くらいにイライラムカムカしてしまった。年上のおじいさんに向かってバカはないだろバカは!(すごい怒るじゃん)でもラストに「お前みんなに嫌われてっからな!」って言われてリアルにエッ…みたいな顔してる石田は石田~!!!!泣くな~!(泣いてない)ってなった。

 

そんで、矢部さんの話なんですけど、圭悟くんのお芝居が本当にめっちゃめっちゃ良くて、こんな良いお芝居たくさん見せてもらえて幸せだな…となりました。最初はぼーっとしてとらえどころがなくて、でも老夫婦に盗み聞きした悪口の感想を聴かれて段々テンション上がってまくしたてちゃうところとか、ボルテージの上がり方がすごく良くて思わず笑ってしまうし、老夫婦に強引に巻き込まれまくってるときのテンポもすごく良くて、こういう感じのコメディをやる矢部さんのお芝居を観るのは初めてだったのですごくワクワクしながら楽しめました。

圭悟くんは15歳の時に万引き事件を起こしてそれを問い詰めた教師に暴力を振るわれた、という過去があるんですけど、そのくだりの子どもらしい根拠のない、それこそ基礎地盤のない自信、大人と対等にできているという勘違いからできあがった15歳の圭悟くんがすごく良かったし、ずっとヘラヘラ軽いノリの圭悟くんが先生に「先生は武道もやってきたからな」と脅された瞬間にスッと表情が消えて真顔で「…こわ、」ってポツっという落差にゾっとした。殴られて、万引き事件もうやむやになって、結局それが圭悟くんにおかしな自信をつけさせてしまった根本である、という話なんだけど、あの場で自分のこと怖いんでしょ?って大人に突きつけることができる圭悟くんがめちゃくちゃ怖かったな。大人は子どもを子どもとして扱わないといけないルールがある、みたいなことを劇中で言ってたけど、でも大人だて子どもの延長線上にしかいないんだから、子どもであれ突然ナイフをつきつけられたら怖くもなるわ。元々恐れていた相手なら尚更に。圭悟くんがあの事件をきっかけに無理やり大人になってしまった、って言うのは、決して越えられないはずの大人と子どもの壁がある日突然崩れて大人の世界に自分が介入してしまった、みたいなことなのかなと私は思いました。そりゃ大人の進退を自分が決めたった、しかも自分はウソを貫き通した上で、ってなると歪んだ自信も身についてしまうのかな……大人を怖がらせる子ども、にしか過ぎないはずなのに、自分は大人になったと勘違いしてきてしまった。しかもその後もその歪んだ自信でもうまくやれるだけの頭の良さとか実力が圭悟くんにあったから余計にだったのかな。そういう歪みや怖さの表現?空気感?がめちゃくちゃ上手いんですよね……本当に大人が怖いタイプの子どもだった。怖すぎた。先生と同じ気持ちになった。

15歳の圭悟くんのくだりも好きだったけど、一番好きだったのは親友とのシーンでした。親友役はいなくて、舞台上に置かれたキャンプ用の椅子にスポットライトがあたって、社会人になった圭悟くんはそれに向かって話しかけ続ける、要するに一人芝居のシーンなんですけど、途中から多分本当にあった出来事と、圭悟くんがそうすればよかったと思っていたことが混ざっているのかな。全部本当にあった会話で、本当に圭悟くんは全部親友に伝えていたのかもしれない。その上で裏切られてしまったのかもしれない。最初は明るく軽いノリで何気ない会話を重ねていって、段々、段々、圭悟くんの雰囲気や語気に必死さと悲愴さが混じってきて、会話の合間に苦しそうな顔を見せるようになって、最後に「これからも頼むよ!」ってこれ以上ない全力で叫んだあとに、小さな声で同じことを繰り返して俯くのがあまりに辛くてボロボロ泣いてしまった。それだけ必死で、ガムシャラに繋ぎとめたくて、信じていて、大好きだったことが全部伝わってくる。今思い出しただけで泣いてる。圭悟くんにもたくさん非はあって(性格的なこともそうだけどめっちゃ親友指さすの気になった人を指さすな)、だけどやっぱり自分を変えるとかそうじゃなくて、どうにか追いすがるか手放すしか選択肢がなかったことも、また圭悟くんの歪みでもあったのかなと思いました。

ラストで突然ブチ切れて全員にお前ら全部ぶちまけろー!!ってなったくだりもめっちゃ面白くて(あんなまくしたててるのに全然噛まなかったのすごい)、本当にテンションの落差も、表情も、ひとつの場面の中ですらクルクル変わってひとつの舞台で本当にたくさんの顔が見られたことがすごくうれしかったです。「それは違うぞ石田ーーー!!!!」が好きすぎた。イヤマジですごかったな……喜怒哀楽全部がゼロからMAXまで2時間の間にフルバーストって感じで。

 

お話自体もすごく面白かったし、矢部さんのお芝居もこんなに全部詰めみたいなお芝居を観られて本当に楽しかったな~!!!

カーテンコールでいとうあさこさんがめっちゃ面白くて永遠笑ってしまった。イッテQめっちゃ見てるからいとうあさこさん元々好きだけどめちゃくちゃ好きになってしまったわね……なんかすごい矢部さんも楽しそうで、めっちゃ笑ってるの可愛かったし。昼公演のカテコで「3年前の矢部昌暉のDVDいくらだと思う!?」「え~10万くらいかな?」「なんと3000円です!」「3年前の矢部昌暉3000円ズコー!!」ってくだりおもしろすぎて今も思い出し笑いしてる。文字じゃ伝わらん。パンフでも同じくだり天丼されて死ぬかと思った。温かい雰囲気の劇団さんでみんな楽しそうで、すごく良い劇団のすごく良い舞台を観れたな~~。本当に観に行って良かった!楽しい時間をありがとうございました。

劇場版 舞台『刀剣乱舞』ジョ伝 三つら星刀語り

義伝の感想の時も書いたようにジョ伝初見だったんですけど、お、お、面白かった~~~~~!!!!!!!!!!周りにジョ伝面白いよ何で観てないの?!って言われてて正直そんなに?ってなったけど、実際観たらこれは今の私でも過去の自分にそう言うわ。めっちゃ面白かった。予想の5000000倍くらい面白かった。

私は末満さんの作品に最初に触れたのがDステTRUMPなんですけどその時に一番思った叙述トリックを使った緻密な話がすごく上手いな~って気持ちをなんか思い出しました。凄惨な悲劇がお家芸、みたいなイメージあるけどそうそうこういうのが私は好きなんだよ。ジョ伝はこれ書いててめっちゃ楽しかっただろうな…というのがめちゃくちゃ伝わってきた。当時は周りがネタバレ禁止に厳しかった印象があったけど、まぁ確かにこれはネタバレせずに見るのが一番面白いわ。私は過去と現在の時間軸が入り乱れるみたいなところはふわっと知ってたけど(当時の感想だけ読んだ記憶あるし)それでも、そういうことかー!ってご理解した瞬間の気持ちよさがすごかったです。いや~面白かった。

 

 

コメントが納谷くんだったので3週目に観に行ったんですけど、相変わらずとろ~っとした喋り方で要領得ないこと言うなでも可愛いからいっか……可愛いもんね…ってなった。とても可愛くて最後に手振った時に思わずニコニコしながら手振り返しちゃって一緒に観てた友達に笑われました。可愛くてつい……。

 

義伝が好きな理由でも挙げたけど、やっぱりハッピーエンドで終わる刀ステはいいなぁ。虚伝とか悲伝とか、多分綺伝もそうなるんだろうけど、本当は死ななきゃいけない人が生きることを止めなくてはいけない結末が悲しすぎるから、正しく生きさせるための戦いがすごく良いなぁと思うのです。まぁ、今回に限っては綺伝に続くのがわかってるから官兵衛お前……お前―――!!!なんでや!!!!!!!ってなっちゃうわけですが……いやマジでなんでやねん。

 

これも義伝の感想で言ったように刀と持ち主の邂逅大好きマンですけど、今回の長政と長谷部はなんかもう笑顔通り過ぎてずっと笑ってた。あの長谷部が長政の前ではハワ……って完全に乙女の顔になって声も音量10くらいになってるの良すぎ。刀が乙女持ちになってるのバカウケてしまった。長政パワーでクライマックス元気100倍!みたいな長谷部も良かったな…「今回の俺はちょっと違いますよ!」みたいなことすんごい良い顔で言っててめっちゃ笑ったし、真剣必殺の時もめちゃくちゃいい笑顔すぎてこっちも笑顔になっちゃったわ。本当に面白かった。

真面目な話をすると、虚伝であれだけ信長コンプレックス発症してた長谷部だったから余計に長政の元で幸せな時間を暮らしたんだなっていうのが分かるのが良かった。好きすぎたから忘れるようにした、覚えているのが辛くなるくらい好きだったって、それはもうものすごい愛だし、長谷部がその愛を育ててしまうくらい長政が穏やかで優しくて、誰に対しても何に対しても深い慈しみを持てる人なのがわかるからこそ、長政との別れのときの長谷部の苦しみとそれを経て本丸に至ったのが見えてないのに見えてしまう。それを「忘れた」って言ってしまうのは気の強い長谷部っぽいなぁ、素直じゃない。長谷部もまんばちゃんが写しであることを思い悩んでいるように、黒田に下げ渡されたことをコンプレックスにしてたけど、なんだお前なんだかんだ幸せにやってたんじゃん!良かったな!みたいな微笑ましい気持ちになった。長谷部にも持ち主との幸せな時間と思い出があってよかったみたいな。

あとカテコの時に長政があいさつして後ろに下がるときに長谷部の横を通るからオッと思って2人を見てたら、お互い目を合わせてニコッってしてたの、主―――!!!!この男忘れたって言ってたのにまたこんな顔してますよーーーー!!!!!!!!!!!!!って私が元気になりました。長政と長谷部めっちゃ良かったなホント。長谷部の解像度そんなに高くなかったからここまで解釈書いといて間違えてたらすみませんって感じなんですけど、だからこそ余計に、長谷部こんなに可愛かったんだなそりゃ人気出るわって思いました。

 

あと山伏がほんっっっっっっっっっっっっとに良かった。なんか同じまんばちゃんが頼るのでも三日月って結構いつもふわっとしてるというか、まぁ理由があるのもわかるけど直接的になんかやってあげるというよりは方向を示して導く色が強いのに対して、山伏は直接的に今どうするべきかをハッキリ言ってくれてそれこそそういうシーンがあったようにまさにまんばちゃんの背中をしっかり押してくれる感じが観ていてすごく安心したし、きっとまんばちゃんもそうだったんだろうなと思いました。ステのまんばちゃんってずっと途方に暮れて迷ってるイメージが私にはあって、そこからそういうまんばちゃんが少しずつ一人だけで立って歩けるようになっていく成長物語が刀ステのストーリーだと私は思ってるんですが、三日月は凭れ掛かりたくてもそうさせてくれなかったけど、山伏は誰かに頼ることで得られるものをまんばちゃんに教えてくれたのかなぁと。兄弟っていう存在もね、いいよね(また……)。山伏のほうからたくさん根気よく歩み寄ってくれたのはデカイけど、兄弟っていう理由もまんばちゃんにとって心を開く理由のひとつだったらとてもいいなぁと思いました。いやホント全部カッコよくて永遠に兄弟~~~!!!!!!!!!!!!!!!ってなってた。

 

あと序のときの殺陣を観て、あれ?なんかこれみんな調子悪い日なのかな?荒牧さんってもっと上手かったよな?って思ってたら如になった時にバリクソ本気の殺陣やってて、そこもなるほど~!!!すぎてすごかった。そうだよな練度が低いときの戦いにそんな手首こねくり回して刀振り回さないもんな……おさよも極になった後の殺陣がめっちゃくちゃカッコよくて興奮しました。あの出てくる瞬間もカッコよすぎてテンションバチ上がりますね。

序は今思えば殺陣と同じようにみんなの精神も人間関係も練度が低かったんだなっていうことが良くわかる。そのせいで本当に観ていてしんどくて苦しい場面が多かったけど、その分如でのレベルアップ感が目に見えて感じられるのが本当に演出もキャストの皆さんの芝居も全部すごい。序と如が交わってるシーンとか入れ替わりも大変だろうに。

ストーリーの面白さも勿論だし、そのストーリーの面白さを活かす見せ方とかお芝居全部含めて本当によくできてる舞台だな~と思いました。本当に面白かった。

 

 

そういえば前々回のブログで書いた5周年本が届かない話ですが、アニメイトに問い合わせたら返品分として戻ってきたものをそのまま自宅に再発送してもらえることになりました。本当にありがたい。多分今日届くはず。

 

いつの間にかもう綺伝初日まで2週間切ってる……!ビビるくらい全然実感ない。

ホントジョ伝を観てますます綺伝がこの官兵衛を受けて作られていることを考えるとどうなるのかめちゃくちゃ楽しみになりました。天伝と无伝が本当なら綺伝のあとにやるはずだったことも踏まえると、綺伝って結構なポイントになるんじゃ…って予感にドキドキするけどいやしかしマジでもうすぐ始まる実感なさすぎ。無事に幕が開きますように!!

マーキュリー・ファー Mercury Fur

(明確なストーリーのネタバレはしてませんが、結末や展開が分かるようなことは書いてあるので配信等を観る予定のある方は読まないほうが良いと思います) 

 

北村さんの初舞台なので観に行きたい気持ちはあれど、チケットがめちゃめちゃめちゃめちゃ大激戦だったので推してはいない私が戦ってもな……と諦めてしまっていたんですけど、有難くもお知り合いに声をかけて頂いて観に行くことが出来ました。本当にありがとうございます。感謝しかない。

 

兵庫県立芸術文化センター、昔何度か行ったことあるはずなんだけど記憶より大きい劇場だったな。駅近でロビーも広くて音もいいし結構サイドだったけど全然気にならない眺め(上手の出っ張ったところにあると思われる本棚が見えなかったくらい)だったので全くストレスなく没頭できて良かったです。

 

 

初演も再演も一切情報は入れないように、メディアのレポートも読まないようにして観に行きました。そのほうがいいよって言われてたので。初演を観に行った知り合いから後ろの立ち見の人がクライマックスで卒倒して自分の目の前に落ちてきたって話を聴いてヒエ……ってなってそういう作品だって心構えだけはしていったのでその点に関しては大丈夫だったけど、確かになんの心構えもなく見たら卒倒してもおかしくないな……と思いました。耐性がないとこれはキツい。

 

どこの国なのかもわからない、いつの時代で、今がどういう状況なのかすら分からない状態で、登場人物の会話から少しずつピースを拾って当てはめていくようなストーリーなので、雑談のように聴こえる会話ひとつひとつにも観ている側もすごく緊張感を強いられる。何が起こるのか、何が起ころうとしているのか、何が脅威で何が例え話で何が冗談で何が本当のことなのかわからない状況のまま進んでいって、もうずっと観ている側もエリオットのように神経を張り巡らせてピリピリしている感じ。理解をしたところで、できたところで緊張感は恐怖とか絶望にしか変わらないから終演後の疲労感というか、緊張感からくる脱力感がものすごくてしばらくぼーっとして何も考えられなかった。

 

北村さんだったかな、これは愛の物語だってどこかでコメントしていて、確かにその通りだなと思った。エリオットも、ダレンも、スピンクスも、愛のために戦っていた。もうどうしようもなくて、すべてがどん詰まりの状態で、彼らがそれでも何があっても這いずり回ってでもどんなことをしてでも生きようとしているのは家族や愛する人を守るためだった。最初は誰もがピリピリしていてひたすらなんでこの人たち永遠にキレてんのかな…ってなったけど、生きていくためにそのひとつひとつが決死ともいえるような状況だったから当たり前だった。

序盤でエリオットとダレンが「ものすごく愛してる」と言葉で確かめ合うシーンがあって、最初はそれに続く言葉が「だからお前を殴る」とか「だからお前を殺す」とか物騒な言葉ばかりだったから、それは2人が子供の頃から繰り返していたごっこ遊びの延長のようなもの、薬物中毒で子供の頃の記憶から抜け出せないダレンにエリオットが付き合ってのことだと思っていたんだけど、そうじゃないことが全ての伏線だったな。

エリオットは愛しているからダレンとローラのことは俺が殺すと言ったし、エリオットとダレンの父親が母親と2人を殺そうとしたのも、多分そうだった。そして、エリオットがダレンを殺したことも。ラストシーンはどうなったのかは曖昧になってたけど、殺すことが深い愛の証明である話であるなら、私はエリオットのダレンに対する愛も同じようにそうであってほしいなと思った。

生きることをどこまでも追い詰められて追い詰められて、どうしようもなくなって、そうしたらもう愛しているからこそ殺すという選択肢しかなくなってしまうこと、深く愛すれば愛するほど殺すこと以上相手に愛情を注ぐ方法がなくなってしまうことは、本当に悲しい。どれだけ這いずり回っても、どれだけ手を汚しても、どれだけ傷ついても、大きくて強い力は容赦がなくどこまでも弱いものを追い詰めて、追い詰めて、絶望させてくる。怖かったけど、同じくらい悲しかった。

バタフライを降らせ、突然街に爆撃をする人たちが、その下にエリオットのような人たちがどれだけの絶望を抱くかなんて想像もつかない。戦争ってそういうものだよなって今の時世と重なるものが多くて、全然知らない国の人たちにもエリオットたちのような人が間違いなくいるんだろうと思いを馳せてしまった。同時に彼らにはひとかけらすら救いがないことをこれでもかと思い知らされているようだったから、この物語で起こることやその結末に対して美しいとは決して言えないなと思った。

 

それでもやっぱりエリオットとダレンの愛は絶望の中でも美しいという表現が一番しっくりくるのかな……本当にこのタイミングのこの2人で観れてよかったな~~~となった。北村さんは言わずもがなだけど、吉沢さんも去年1年大河ドラマでずっとお芝居を観ていた人だったから舞台でのお芝居も観られてうれしかったな。何度も共演している2人だからかどうかはわからないけど、心の距離感がすごく絶妙ですごく良かった。

序盤はどれだけダレンに手を焼いてても手放すことができないエリオットとドラッグ漬けで頼りなくてエリオットに守られているダレン、という感じだったのがラストで絶望してひとつも動けなくなったエリオットにダレンが必死で「俺がなんとかするから!」と叫んでエリオットを守ろうとしていたことが一番泣いた。「ものすごく愛してる、なぁ言えよ!」って序盤の「ものすごく愛してる」のやりとりをエリオットにもう一度させようとしたことも、ダレンにとっては自分の存在を認識させてエリオットを落ち着かせたい一心だったのかもしれないけれど、私は逆にその言葉がエリオットにダレンを殺す選択をさせてしまったんじゃないかなと思った。泣いたといってもその場では全然涙が出なくて、終わってしばらく何も考えられなくてやっと頭が回りだした頃に突然涙がボロボロこぼれてきたんだけど、その時に一番頭から離れなかったのがこのラストシーンだった。北村さんってテレビとかだとすごく大人しくて物静かでボソボソっとしゃべるイメージが強いけど、声張ると思ってた以上に声が高くて声量もあるからめちゃくちゃ良く通る。ダレンは割とずっと声が高めで幼げな言動ともあわさってすごく可愛いなと思ってたけど、ラストシーンの飛行機や爆撃の音、部屋が燃える音の中でもガツンと響くあの声が本当に際立っていてすごく印象的だった。あと「ド、レ、ミ~」とかきらきらひかる歌う時いちいち歌うめえな…って思ってしまった。集中してほしい、私。吉沢さんもすごく声と吐き出す言葉に力のある人だからエリオットの苛立ちや焦りが緊張感になってビリビリ伝わってきたし、N列からの距離なのにテレビで見てるみたいにすごく表情が力強く伝わってくるから不思議だった。

あとローラが出てきて男の人だ?ってなったけどそれを忘れるくらいすごく上手くて誰だったんだろって後から調べたら宮崎秋人さんでビビった。宮崎秋人さんは舞台で観るたびに度肝を抜かれて帰ってきてるので今回もまた抜かれてしまったわね……。声も体格も男性なのに、すらっと背が高くてちょっとしたしぐさも上品な女性にしか見えないんだよな……本当にすごい。ローラは多分世が世ならきっとひとりでもちゃんと生きていける強さを感じる女性だったけど、戦争の話なのでローラたち女性は愛される側、守られる側にしかなり得なかったのも無力感がすごかったな。

スピンクスはそれこそ姫や妹のローラだけじゃなくてエリオットやダレンたちも守っていたわけだけど、加治くんの貫禄と安心感っていうのかな…登場したときは威圧的で粗暴でなんだこいつって感じだったけど、スピンクスも同じように皆を守ることに必死だっただけでその優しさに納得できるだけの包容力みたいなのがないとスピンクスって存在は成り立たないと思ったし、だから最終的にはすごくスピンクス…イイヤツじゃん………ってなった。スピンクスは結局実はやってたこと全部エリオットたちも含めた家族に対する愛だったからホントに心憎い。

ナズは最初出てきたときなんじゃコイツ距離梨か?ってなったし、エリオットが目に見えてナズにイライラしてるのが分かってああ…ってなってしまったのであんまり好きになれなかったんだけど、あっという間に皆の中に入り込んで、みんなが手を焼いてる姫ですら誰よりも上手く相手もできて、すごく魅力的な子だった。ていうかナズも小日向星一さんだって知らなくて、あの可愛いショタ役はどなただったんだろ…って調べてひっくり返ったわ。びっくりした。高い声が幼げで可愛らしくて、だからこそプレゼントにされてしまったあとの叫びが本当に耳を塞ぎたくなるほど悲痛ですごかった。プレゼントとしてナズが死ぬことがなかったことだけが唯一この物語で心から良かったって思えたことかな……その後無事に生きられたかどうかも分からないけど、それでもナズが話してくれたの妹の最期のことを思うと同じ目にあって死ぬことがなくてよかったとは思った。私もナズが好きになっている……。

 

登場人物ひとりひとりがすごく魅力的でそれを語るお芝居が本当に全員ずっしりとした重みを持っていたから、状況説明が何一つないまま場面転換もないまま会話だけで物語が進んでも、言葉ひとつひとつが耳に残って頭に入ってくる感覚がすごかった。情報量がものすごくて先にも書いた通り一瞬だって気を緩めることができないヒリヒリした緊張感と観ている側も戦いながら観る必要があるのだけど、だからこそこの物語の持つ切迫した状況や絶望感がより強く伝わってくるのかなと思った。

いやホントめっちゃ疲れたな……というのが正直なところ。いつもなら終わったらあとは感想や考察が止まらなくてツイッターやらメモ帳やらに書き綴らずにいられなくなるけど、マーキュリーファーは終演後本当に何も言葉が浮かばなかったし何も考えられなかった。ただ自分が観たものがリフレインして言葉にならない感情が揺れる感じが寝る前まで続いてた感覚。とかいいつつここまで3800字くらいらしい。長。

 

 

ちょっと話違うけど、皿さんの10周年ライブがテレビでやってて観たんですけど、やっぱりテレビで見てしまうと会場で観たものと同じものなのに全然こっちに伝わってくるものが違うなと思って、なんかもっとでっかくて圧倒的で包まれるような感覚があったのに画面越しになるだけでこれだけ違うんだなと思ったから、まぁそれは舞台をDVDで観た時も同じなんですけど、やっぱり舞台もライブも生で観てその場の空気を感じて、包まれて、同じ感覚を共有するからこそ楽しむエンターテイメントなんだなと思いました。

今回劇場で観られなくても配信で観るつもりだったけど、本当に劇場で観ることができてよかったな。声かけてくれたお友達、本当にありがとうございました。内容的には良かった、と形容して良いのかはわからないけど、本当に完成度がとても高くて素晴らしい作品を観ることができたなと思います。

推しに出会って10周年の話

推しに出会って10周年です!

 

周年のブログ書くたびに言うてますけど、明確にこれがあったから推した!ってエピソードがなくていつから推し!って気持ちになったのかマジで全く記憶がないので出会った日を節目として数えています。オーディションの日でも別にいいんだけど、オーディションの時点で既に推してていろいろ必死こいてたのもあってじゃあいつから…?ってなるとマジで記憶がない。

 

推しも矢部さんもそうなんですけど、推しに対して一目惚れというのがあまりなくて、この人いいなと思っても自分的な見極めの時間というか、いろんなエピソードとか出来事を積み重ねないと推しだといえるとこまでいかないタイプなので「好きだけど推してない」っていう人は結構な人数います。まぁ見極めの時間とか言うて1か月とかそのあたりでそうかそうじゃないかの判断はつけてるっぽいから所謂助走期間みたいなやつなのかな。

推しは推しがSNSを始めたのをきっかけでリプをするようになったけど、その時はまだ「頑張ってほしい人のひとり」みたいな感じで、その頃はリプを返してくれたから多分そのやりとりの中でそういう気持ちを積み重ねていったのだと思うけど、同じような状況の中で同じようにリプを返してくれた人はいたのにどうして推しだったんだろうな?というのは今でも分からないな。顔が好みだったわけでもないんですよね。推してて4年くらいは顔は別に……って思ってた今はめちゃくちゃ好きだが。

なんで推したかもわからないし、特に好きになったきっかけもわからないまま、でもこの人に頑張ってほしいな、この人を応援してたら楽しいことがあるかなと思いながら追いかけてたらいつの間にか10年が経って、今も1年目と変わらず楽しくて本当にすごいし有難いことだなと思います。楽しいことばっかりじゃなくて腹立ったこともマジでコイツクソだな!って思ったことも何度もあるし、でも最初は舞台を観たことすらなかった推しが、稽古のたびに末満さんに怒られていた推しが、初めて舞台に立って、初めて主演をやって、初めて外部の舞台に立って、初めて東京の舞台に立って、初めて2.5舞台で役付をもらって、そういうひとつひとつの初めてをたくさん見せてくれて、そのたびに一生懸命追って来てよかったなぁって思わせてもらえるとマジで少々腹立ったことなんかどうでもよくなってしまうんですよね。そして今でもいろんな初めてを見せてくれる。マジでありがたいしかないな。

 

私はマジで飽きっぽいので暇だとすぐ飽きちゃうんですよね。今までの人も降りた理由は9割が「飽き」でした。仕事が空いたり、私が楽しいって思える仕事がなくなってきて興味が移ろってしまうことがほとんど。

私はいつだって楽しいことが一番で、楽しくない人わざわざ推したくないなぁって思ってしまう。2年前に推しをもう降りようかなって思ったのも推しに対してつまんねえなって思ってしまったのが一番の理由でした。

正直言うと、いま推しが増えたから少々の「飽き」が来ても他の推しで気持ちを埋められるっていうのはあるかもしれない。昔は数日SNSの更新がないとお前生きてんの?ってイライラしてたけど、最近1週間更新なくてもそんな気にならなくなりました。

現場に入る回数も減ったし、推しに対して必死になることも減ったから、私の中のルールとしてそれだけしかやってないのに推しにいちいちイライラしたり何か言ったりするのも違うなよくないなって思っているので、そうなると適度に心の距離を保てるようになったなと思います。推しを推しとして推せるようになったというか。なんかこう、オタクって必死になりすぎると推しとの距離感を見誤ってしまうことが多々あると思って、私はそれで失敗したこともたくさんあるし、推しに全く迷惑を掛けなかったかと言われるとそうではないので、今の適度な距離のままこれ以上見誤らずに推していけたらいいなあと思います。

勿論今までも必死に頑張って楽しかったことはたくさんあるし、全部大事な思い出なので、そうしたことは後悔もしてないし無駄だとも思ってないけど、今は今ですごく楽しいし、これからも細く長く推していけたらいいなと思っています。

 

 

ところで刀ステの5周年本、受取先にしていたコンビニが配送日の数日前に閉店していたせいで返送になってしまってめっちゃ困ってる。(普段通らないところにあるコンビニだから閉店したの知らなかった)多分戻ってしまったらキャンセルになっちゃうけどもう買えないからマジで辛すぎて朝からいい歳して号泣してしまった。自分で判断して諦めるのは全然平気だけど、自分の力の及ばないところで諦めないといけないのはやっぱり悲しいし腹立つじゃないですか……今アニメイトにも問い合わせてるけどどうにもならん気がしてあ~~~~~ってなってて11年目の幸先悪ぃな!!!!!ってなってます。なんとかなってくれ~~。

 

劇場版 舞台「刀剣乱舞」義伝 暁の独眼竜

刀ステで一番好きな話はって問われたら、見てないやつもあるのはさておき、義伝って答えるくらいには義伝好きなんですけど、好きな割にDVDも全然見返してないからマジで10000000億年ぶりに見た。多分配信かなんかあったときにも見た気もするんだけど、そのくらい記憶を失いかけてるのでまるで初見のような気持ちで見たし、やっぱり好きだな~~~となった。

なんだろう、テーマと話が分かりやすいっていうのもあるし、刀ステ全体の伏線はさておき割とスッキリ終われるんですよね。歴史上の人物も「死ななきゃいけない」じゃなくて「生きなきゃいけない」っていうところも好きなのかもしれない。なんか全体的にポジティブな印象があるし、かといって軽すぎず、でも楽しい場面もあって、私にはちょうどいい。刀ステ全部とちゃんと見てるわけじゃないのでそれは義伝に限らないかもしれないですが。

 

コメントが和田琢磨さんだったんだけど、義伝の稽古のときのエピソードとか話してくれてて、私は観た記憶ほぼ失ってるのに5年も前のエピソードトークが出来て偉いな…となった(そこ?)一番好きなシーンの話をしてくれたんですが、私もそこが一番好き~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!って爆沸きした。

そういえばランダムポストカード、今週はおさよと歌仙と全員集合の3種類で、おさよも歌仙も好きだしまぁどれが出てもうれしいなと思ってたら全員集合が出たので私のくじ運分かりやすいなと思いました。どうでもいい話。

 

そもそもが綺伝前に歌仙と忠興のエピソードを見返したくて観に行ったんですけど、先に書いた義伝で私が一番好きなシーンというのが忠興の「自慢の刀じゃ!」ってシーンなんですよね。

義伝自体が、自分自身の感情と相反する自分の物語をどう受け入れるかってところでみんなが戦っていて、おさよがそのメインだったけど、歌仙もずっと気にしてないフリ受け入れてるフリして実のところ戦ってるっていうのがめちゃくちゃ歌仙だし、歌仙のそういうところ結構好き。忠興相手に思ってること言っちゃうところもめっちゃ歌仙だし、そう思うと科白劇の時の忠興に対する歌仙ってだいぶその辺のつかえがとれてる感じがあった気がする。それってやっぱり義伝での「自慢の刀じゃ」って言葉があるのかな、そうだったらいいな~と思いました。和田琢磨さんも言ってたけど、本当にあそこの忠興も歌仙もすっごく良い顔してて、忠興は別に歌仙自身に向かって言ったわけじゃないし歌仙もそれは分かっているのに、どこかハッキリと通じ合ったようなところが確かにあって、そのことにボドボドに泣いてしまう。主に大事にされてうれしくない刀なんていないよね…って泣いてしまう。科白劇の歌仙はだいぶ忠興のこと好きというかちゃんと情があるように私には見えていて、まぁあれは違う本丸の歌仙ではあったけど綺伝でこの本丸の歌仙がどう忠興と向き合うのかまた楽しみになりました。

あと記憶よりも大俱利伽羅と仲悪かったというか相性が悪すぎて逆に楽しくなっちゃったな。あぁいうタイプが好きじゃないのわかってるんだから距離置けばいいのに黙ってられなくてアレコレ文句つけてウザがられる歌仙可愛い。人見知りだから逆におしゃべりになるっておさよは良く見てるなホント。

 

そうなんですよ、やっぱり義伝のおさよバツグンに可愛い。みんなのアイドルおさよ。納谷くんだから贔屓目ある自覚もあるんですけど、やっぱり可愛いものは可愛いからしょうがない。全部のシーン可愛くてモダモダした。歌仙とおさよの関係がめちゃくちゃ好きで、歌仙は人見知りだから…っておさよが言うの、嫌いなオタクいる?いない。歌仙のあの自分は完璧にできてると思ってるのに隙だらけのところ本当に可愛いし、自分が出来てないって思ってるおさよのほうがよっぽど大人っていうのがハァ~~本当に可愛い。屋根の上のシーンと旅立ちのシーン、あと1000万回観たいな。観るたびに思うけど、自分が寝てる間におさよが旅立ったって聴いた歌仙、気にしてないフリして永遠に落ち込んでそうだから見たかった。

義伝⇒科白劇⇒義伝って見ると、なんか突然に歌仙の解像度が上がって楽しかったです。義伝初見の時はマジで永遠にイライラしてんじゃん落ち着けよって思ってたけど、科白劇を経て義伝に戻るとコイツ……可愛いな……って思ってしまった。めんどくさいヤツだけどめんどくささが分かりやすいので可愛い。

 

あと伊達の刀、顔が良すぎて最高だった。主の顔が良いと刀の顔も良くなるんだな……って思いながら見てた。

 

今更義伝自体の感想書くのも野暮かな~と思うんですが、そもそも刀ステもとりあえず1回は観るくらいで解釈深めたりとかもしてない刀ステ超初心者だから、今回観てめっちゃ伏線あるやん!って気づいたレベルなので…。何回も見てないせいで肝心の劇場版だからみたいなところは良くわからなかったし。でも逆に新鮮な気持ちで観れたので楽しかったです。いつだって初見の気持ちで観れるから楽しむ才能がある。

ジョ伝は実は一度も見たことなくて、官兵衛出てくるから綺伝までに劇場版見れそうでよかった。楽しみです。

 

先日、刀ステ展にも行ってきたんですが、科白劇の展示はあったけどまぁ当然衣装も番傘もなくて、だけど同時にいよいよこの次が綺伝なんだなって逆に実感が沸いたというか、次に刀ステ展やるときは綺伝がここにあるんだなって思うとすごくドキドキしました。

義伝のED見た時にいよいよ次は推しの番傘が観られるんだって思ったし、本当にこういうビッグコンテンツの流れのひとつになれるってハァ本当にすごいな……って何度もしみじみしてしまう。何度噛んでも味がする。亀甲貞宗って書いた番傘持ってお辞儀する推しの妄想して泣きそうになってて気が早い。でも義伝のカテコ見ながら想像して泣きそうになったので実物見たら絶対ボドボドに泣く自信があります。

綺伝のチケットも届いたしなんだかんだもう1か月きった…?本当に???マジで綺伝やる?????って毎日疑ってる。やります。

 

 

コロナがなかなか落ち着かないから不安もあるけど、まぁ私が不安になっててもコロナが消えるわけでもなし、地道に自分で感染対策するしかやることないですね。そろそろ稽古も始まるみたいなので無事に初日を迎えて最後まで完走できますように。

推しが表紙になった話

本日発売ですありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 

↓私へのおめでとうのスターはこちら↓

おめでとうございます!

 

 

私は天才なので、Amazon版もアニメイト版も通販で予約したものの、絶対発売日に届かないだろうことは分かってたけど、絶対発売日に手に入れたかったので通常版は昼休みに会社の最寄のアニメイトダッシュしました。会社の最寄のアニメイトに入荷することは前日のロケハン(?)で確認済みです。どんだけ欲しいんだよ。めっちゃ欲しいに決まってるじゃないですか!!店内入ってすぐ表紙見つけてアッ!って声出ちゃったよね……めっちゃほしかったので……。でもアニメイトカードは忘れた。

いやもう………推し、推しの表紙がお店に並んでる…………わざわざ裏向けなくても表紙が推し、ちなみに裏表紙も推しなので裏向けても推しですありがとうございます。最高の雑誌。

 

すごい、めくってもめくってもめくってもめくっても推し。結構厚みがある雑誌なんですが半分くらい推しがいる……42ページって何ページ?????私にとっては広辞苑並みの厚さ。この厚みのステーキ食べたら10万はかかっちゃうね。テンションが永遠におかしい。

 

グラビアももちろんだし、インタビューもめちゃくちゃボリュームあって、ランチタイムにじっくり読もうかと思ったらインタビューの一番最初の推しのコメントで涙ドバッッッッッッッッッッッって出てそれ以上読めなかった。

私はあまり科白劇のことを本筋じゃないと思いたくないというか、あれも刀ステのひとつの作りでありひとつのお話であると思っているので、たまに刀ステカウントしてもらえてない(ちゃんとカウントしてもらってることもあるけど)ことにちょっとだけモヤ~っとしてたんですけど、でもやっぱり違うんですよね。当時は状況も状況だっただけに、今と同じことをできなかったのも勿論そうだけど、科白劇ってそもそも別本丸の話だから彼ら本人自身の物語ではないので確かに、本当の推しが演じる亀甲さんが紡ぐ物語とは違うんだな~って思うと、やっぱりいよいよ、やっと、彼らの「綺伝」が観られるんだなって改めて感慨深くなってしまった。推し、刀ステに出るんだなぁ~~。

 

別に刀ステがすべてってわけじゃないし、それ以外の推しのお仕事だって楽しいしうれしいし素晴らしいことには変わりないけど、やっぱりビッグコンテンツである以上推しの人生結構変わってるんですよね。刀ステで知名度が一気に上がってオタクが増えたのもそうだし、仕事の種類も変わってきた。こうやって雑誌の表紙になって、たくさんページを割いてもらって、あんまり自分から自分のことを語らない推しの話をたくさん読むことができて、今まで見たことない表情をたくさん見ることができるのはやっぱり刀ステっていうターニングポイントのおかげだなぁと思います。

私は刀ステにめっちゃこだわってきたわけでもないし、推しが結果的に売れてオタクが増えるならそのきっかけは刀ステじゃなくても別に全然いいって思ってきたけど、たまたまそのきっかけが刀ステになったって話なのでね。それでもやっぱり末満さんの力添えとか、推し自身が出たいって思い続けてきたこともあるから、それはありがたくて素晴らしいことだな~と思う。5周年本でもなぜかインタビュー載ってるし……ありがてえな……。もうすぐ推して10年になるらしいんですけど、未だにこんなに涙が出るくらいうれしくて幸せなことがたくさん起こってるって本当にすごい。ありがたいことです。

 

雑誌載っただけでこんなに感慨深くなってボドボドに泣いてたら綺伝見たら干からびるんじゃないか私。明治座で亀甲貞宗って書かれた番傘を持つ推し想像しただけで泣けるもんな……(気早)いま第6波本当に大変だけど、どうか無事に上演できるといいなぁ。