世界で一番推しが好き!

たのしいおたくのせいかつ

映画「やがて海へと届く」

見たのは先週の話なんですが感想書く時間がなかったもので……。

 

 

浜辺美波ちゃん演じるすみれが亡くなり、その死を受け入れられない岸井ゆきのちゃん演じる真奈がすみれとの思い出をひとつひとつたどっていくというストーリーです。物語が始まったときからすみれはもうこの世にはいなくて、真奈や周りの人たちの思い出の中にしかすみれはいない。真奈が思い出すすみれとの時間がとても美しくて、切なくて、そして近しい人の死に対して感情を大きく出すことなくじっと静かに耐えるような真奈が苦しくて、結構序盤からボロボロ泣いてしまった。

真奈は大人しくて口下手で、ハッキリと物事が決められない、流されやすいタイプなのかな。逆にすみれは美人で明るくてさっぱりした性格で誰にでも受け入れられるけど、いつもどこか寂しそうで、満たされない感じを抱えている。2人が大学の入学式で出会い、親友と言える存在になって、すみれが真奈の家に転がり込む形で生活を共にするようになっても尚、真奈にはすみれが掴み切れない部分があって、すみれは真奈に伝えきれない気持ちがあって、お互いが何よりも誰よりも大切な存在なことはこっちは観ていて分かるのに、お互いが爪の先ひとつぶんくらいのほんのわずかな距離を最後まで詰めることが出来ない、心は確かに許しているはずなのに、どこかジリジリともどかしい関係と描写がすごく良かったな…。なんかこう……よこしまな目を置いてもお互い親友として以上の存在になりたいと思っているのに、あと一歩相手に踏み込みたいのに踏み込めなかった後悔がお互いにあって、最後までそれを伝えられなくて、なんですみれ死んでしまったんや……。

すみれは真奈以上に真奈に言えない気持ちを抱えていたように私は見えて、それをすみれが残したビデオを通して真奈が気づいたとき、すみれが真奈の部屋に残していった真奈への気持ちを知ったとき、あのシーンの2人が本当に美しくて切なくて映画館でボロボロに泣いてしまった。本当に2人の思い出が全部美しすぎて素晴らしかったのでそれだけのために観に行く価値はあると思いました。真奈の部屋で2人がふたりきりの時間を過ごしているシーンはどれも素晴らしく美しくて切なくてよかった。

 

なんだけどそれをさておいたストーリーが正直う~~~~~~~ん?????という感じ。物語の序盤ではすみれがなぜどうやって行方不明になったのか分からないまま話が進んでいって、中盤くらいに津波に流されて、って真奈が話すんですが、そのあと震災の話が出てきたのがなんか唐突に感じてしまってうーんとなった。これ震災の話やったんか…って思いながら観てたけど、なんかそうだけどそうとも言い切れない感じがすごく中途半端に感じたし、すみれが死を迎えたシーンが全部アニメーションでしかも助長だったので後半ずっとうーーーーん????となりながら観てた。あのアニメーションなんやったんや。言葉を選ばずに言うと、なんかすみれは死んだけど死体が見つからないから真奈がすみれの死を受け入れられない、っていう理由付けに震災が使われたようにしか私には見えなかったんですよね。それならすみれが一人旅でいろんな海を観に行ってる描写や、震災を語るための真奈たちの伏線があったってよかったんじゃないかなみたいな。そんなさらっとそんな理由付けに使っていい題材か??ってところにモヤモヤした。

前半の真奈とすみれの出会いや、穏やかだったところにすみれの彼氏の遠野くんが出てきて少しずつすれ違ってしまう2人のあたりはめちゃくちゃ心理描写も丁寧で情景も美しくて最高の映画だな…って思ってたんですけど、後半でなんかわちゃっとなってモヤモヤのほうが残ってしまった感じ。すみれの家族環境からできたすみれの性格も推して図る程度にしかわからなくて、なんか真奈の周りの人間関係に対してすみれに対する描写がもうちょっとあっても良かったのでは…の気持ち。真奈が主人公だからすみれに描かれない部分があっても仕方ないのかもしれないけど、それだったらすみれ視点で真奈との時間を振り返っていくシーンはいらないよね。すみれ視点なのにすみれ自身を語るには足りない、って感じで中途半端でうーーーんってなった。前半の出来1000000000点、後半マイナス100000点って感じでトータルは前半の良さが勝つって感じだけど、前半がそんだけ良かっただけになんでだよ!ってなりました。去年「砕け散るところを見せてあげる」を見た後もこんな気持ちになったな…ということを思い出した。

 

美しくて自由奔放だけどとらえどころがなくて誰のものにもならなくていつかどこかに消えていっちゃいそうな浜辺美波を撮りたいという気持ちは存分に伝わってきたしその点においては最高。100000000000000000点です。