世界で一番推しが好き!

たのしいおたくのせいかつ

映画「そして、バトンは渡された」の話

(配慮なくネタバレしてます)

元々永野芽郁ちゃんも岡田健史くんも好きなので(といっても好きになったのもここ1年くらいだし、映画やドラマを見るくらいしかしてない)(芽郁ちゃんの生誕アクスタは買った)(とてもかわいい)、こんなん絶対見るしかないやん!!!!と思って意気揚々と観に行きました。

原作は全く読んでないんですけど、予告編と序盤で予想した内容概ねその通りだったので、予想外の大どんでん返し!みたいな意外性はそこまでなかったんですけど、兎に角キャスティングと役者さんたとの芝居がめちゃくちゃ上手いので、分かってたとしても泣くんですよ。尋常じゃないくらい泣いた。

 

 

 

母親と死別してその記憶すらない泣き虫の少女・みーたんと、新しい「ママ」の梨花さんの時間軸と、高校生の優子と血のつながらない父親の森宮さんの時間軸が並行して進む物語で、みーたん=優子、つまり優子が「ママ」と出会い、成長し、大人になっていく物語です。

 

 

初めてみーたんがママに出会った日、今までみーたんがパパと2人で暮らしていた地味な木造アパートの一室が、梨花によってカラフルでビビッドなカーテンやカーペット、可愛いぬいぐるみやオブジェで飾られて、見た目通り、そこからみーたんとママの日々はカラフルな色と可愛いものでいっぱいになるんですよね。

ママはいつでも可愛い服を着て、お化粧もばっちり。お金はなくてもみーたんに可愛い服を買って、自分も好きな服を着る。とびきり明るくて、派手好きで、元気でパワーに溢れたママとみーたんの日々は本当にそのまま、ゴチャゴチャの極彩色で彩られたままみーたんの中に残っていたんだろうな。

その後、再婚したお金持ちの泉ヶ原さんの家は物が少なくてシンプルでシックなモノトーン、優子が森宮さん暮らす家は素朴な白い壁の普通の一戸建て。早瀬くんと暮らしたアパートは川沿いで少し狭いけどたくさんの雑貨や料理道具に囲まれた部屋。演出の意図なのか分からないけど、優子を取り巻く名字が、環境が変わるたび、目に入る背景の色彩や物量が視覚的に全然変わるのが印象的だった。

兎に角服装もオシャレで、梨花さんが本当に派手で可愛かったし、梨花さんが光沢のある生地やビビッドな色を好んで着ていたのに対して、優子の服装は印象が柔らかいニットとかが多いけど、柄や色合いがレトロで子どもの頃に来ていた服と印象が変わらなくて、ママの影響を受けているのが良くわかるのが良かった。すごく可愛かった。

 

石原さとみさんがマジで柄×柄の組み合わせの服装や派手なメイクで底抜けに明るくてパワフルな役がハマってる。校閲ガールをちょっと思い出す。梨花と河野悦子はぱっと見は近い気はするけど、だけど似てるのにハッキリと違うと感じられるところが良かったし、石原さとみさんやっぱすげえな~と思った。

底抜けに明るいはずなのに、どこか、何か不安になる。何かあるんじゃないかって、別に影のある芝居を見せているわけでも、思わせぶりな表情やしぐさをするわけでもないのに、どこか、何か、梨花の明るさや奔放さを素直にただムチャクチャな人間だと受け止めるには引っ掛かりを感じさせる。ただメチャクチャで奔放にふるまっているだけの人、で理由がつくはずの言動に何がどうあってそう感じたのかわからないけど、どこか、何か、ぼんやりとチクリとしたものを漂わせて、ラストでその意味を理解させる。ハッキリと感じたわけではなかった、自分でも気づいていなかったかもしれない、ぼんやりとした感覚が、ラストでスッと腑に落ちる、そうさせる石原さとみさんのお芝居がとにかくすごいなぁと思った。

梨花が最初からみーたんが、子どもが目的で結婚したって一発でわかっちゃうんですよね。もう旦那なんて一切見てない。この人、理由はわからないけど子どもが目当てで結婚したんだって、最初のシーンで分かる。強烈なほどの子どもを愛することへの羨望と執着、血の繋がらないみーたんへ枯れることのない無限ともいえる愛情を注ぐためだけに生き続けた梨花

優子の卒業式をひっそりと見に来た時、車椅子に座って、顔も真っ白で明らかにやつれて眉毛も薄くて、もうそこまで死期が近づいてくるのが明らかに分かるのに、誰よりも派手でオシャレな服に身を包み、真っ赤なリップをつけている、あまりに梨花らしい梨花に涙が止まらなかった。どんなに病魔が体を蝕んでいても、服装も、メイクも、全部が梨花らしくて、美しくて、みーたんと一緒に極彩色の日々を過ごしたママは確実にそこにいた。離れていても、あの時と変わらない愛情で優子を愛しているのがただただ幸せに満ちた笑顔で涙を流す梨花からこれでもかってくらい強烈に伝わってくるからもうこっちだって負けないくらいに涙があふれてきてしまう。

 

永野芽郁ちゃんはさ~私はとにかく「めちゃくちゃ平凡なのに大勢の中でスポットライトが当たるべき存在」の役が本当に好きなんだなと。そういう役が多い気もするし、私がただ好きだからそう感じるだけかもしれない。

優子も本当に普通。だけど、梨花に、3人の父親に、早瀬くんに、たくさんの愛情を注がれる存在であることが妙に納得できる。この子は愛してあげないといけない、大事にしてあげないといけない、って本人は決してそれを望んでいるわけじゃなく、むしろ今以上のものを欲しがるような子ではないのに、この子の為に何ができるだろうって思わせる。それを見ている側にも多くを語るでもなく、確実なエピソードがあるわけでもないのに、なんで?って思わせる余地が一切ない。大事に守って、この子をたくさん幸せにしてあげたいと思って心を砕いてきた大人たちの気持ちが痛いほどよくわかる。それが永野芽郁ちゃん自身が持ちえる華なのかなぁ。愛されるべきであることを理由なく納得させる華というか。

卒業式でピアノを弾いていたみーたんが優子と重なった瞬間、マジで「優子……大きくなって……」って森宮さんの気持ちでめちゃくちゃ泣いた。泣き虫だったみーたんが、クラスメイトにいちゃもんつけられても、イヤな役を押し付けられても、失恋しても、それでも泣かなかったみーたんが、保護者席の森宮さんを見つけて涙を流した瞬間、優子ーーーーーー!!!!!!俺が森宮さんだーーー!!!!!!!!!(お前は森宮さんではない)

いやもう……途中から完全に森宮さんの気持ちで見てた…………クラスメイトに虐められているのを見て、お前ら!!俺の優子に!!!ってムカついたし、卒業式のクラス合唱のピアノを押し付けられた時も、優子が頑張るっていうなら…ってなったし、早瀬くんと付き合うことになった時もその男はやめなさい!!!って思ったし、なんとかこの子を幸せにしてあげたい、遠慮がちな優子にどうやったら愛情を示せるんだろうって森宮さんと同じことを考えてしまう。バージンロードを歩くのは森宮さんですよって2人のパパに言われた時、やっと父親だと認められたような気がして嗚咽が出るかと思うくらい泣いたし、マジで自分の情緒が完全に森宮さんだった。森宮さん良かったねじゃなくてマジで自分が森宮さんだった。俺が森宮さんだ……。(??)

 

早瀬くん、多分キャスティングした人は岡田健史くんのことをよ~くご存じなんだろうな…の気持ち。岡田健史くん、好きになって1年くらいなんですけど、インタビューを読むたびにすんごい自我が強くて面白いんですよね。忖度とか社交辞令とか空気を読むって発想が気持ちがいいくらい一切なくて、自己肯定力めちゃくちゃ高いのに向上心も強くて、見ていて飽きがこなくて面白いんですが、本当に早瀬くんにそういう性質がすごく活きてる気がした。まぁ大体早瀬くんもそういう人ですよね。

優子と早瀬くんが自分にないものを相手に感じて、まるですべてが正反対の二人が料理とピアノという接点で通じあって手を取り合っていくのは、不思議なくらい自然だった。優子が早瀬くんの強烈な輝きに惹かれていたことも、早瀬くんが自分には持ちえないものを持っている優子を忘れられなかったこともすごく良かったけど、唯一どうしても早瀬くんを一生許せないポイントは、絶縁してるとはいえ自分の実家に優子一人で行かせたことですね。情緒が森宮さんなので、お前何してんだ…って思ったし、結婚式のシーンでもコイツ、不仲の実家に彼女を一人で行かせるような男だぞ……って根に持ってたし、あそこで私が森宮さんだったら一発殴らないと気が済まなかったから森宮さんは理性があった。

 

優子を生んだお母さん、パパ、ママ、泉ヶ原さん、森宮さん、みんなが一心に優子に愛情を注ぎ続けて、そしてその役割のバトンが早瀬くんに渡される。私はバトンは梨花から優子へと渡されるものだろうと思っていたので、ここだけは予想できてなくて、なるほどーーー!!って感動した。優子という一人の平凡な女の子が、たくさんの人に愛されて早瀬くんに出会う物語。死ぬほど泣いたけど本当にめちゃくちゃ良い映画だったな。

 

なんか取り留めなく書いてまとまりもないのにこんなに長くなってしまった……。まぁ良かったと思ったものの良かったところを残すのは大事なことだと思うのでこれでオッケーってことで。マジで良い映画だったので、なんかめっちゃ良い感情で涙を流したいみたいな気持ちの人にはめちゃくちゃオススメです。そうじゃなくても永野芽郁ちゃんが本当に可愛いので全人類見てほしい。俺が森宮さんだ。