世界で一番推しが好き!

たのしいおたくのせいかつ

ミュージカル「ジェイミー」の話

(全部は話してないけど言いたい事全部書いてるのでそこそこにネタバレしてると思います。)(あとクソほど長い。)

 

 

初ブリリアだったんですけど、まぁ噂に違わず…といった感じでした。会場自体はめっちゃキレイだったけど、もうちょっと大きいホールかと思ったら想像より二回りくらい小さかったな。トイレはたくさんあってキレイだった。

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M列ドセンとG列(実質4列目)のサイドで観たんですけど、M列はドセンなのに前のおじさんの頭で上手1/3が見えないって感じでオイオーイ!!ってなった。

まぁでもその頭でかおじさんよりも斜め前に全ての曲でノリノリの横揺れをするおじさんがいたほうが発狂しそうだった。バラードで横揺れするな。あ~音楽鳴ったら自然と体が動いちゃう系の人種?って思ったら最初30秒くらいはテンポとリズム様子見してから満を持してノリ出すから意志を持ってノってる系だった。いやどっちにしろ動くなという話なんですが。

 

これは音響のせいなのかホールのせいなのか私の耳がバカなのかの原因がわからないんだけど、セリフも歌詞も聴き取れないところが多くてそれがちょっとイヤだったな。なんか喋ってるのはわかるんだけど全体的に早口気味なのもあって、ボソボソゴニョゴニョって音がなって何となく前後で展開は理解できるけど、実際に何を言ったのかが初見じゃ分からないって感じる部分が多かったのがな~ちょっと残念だった。

前にお芝居を観たことあるキャストさんは前の舞台ではそんな風に思わなかったから多分音響の問題な気はするけど……。歌もストーリーも良かっただけにそこで引っ掛かるのが本当に残念だった。

大阪公演も観るので、そこでちゃんと聴き取れたらブリリアのせいにします。(ダメ)

 

 

 

これはイギリスを舞台にした、「ジェイミー」というドラァグクイーンになるのが夢の男の子のドキュメンタリーを元にしたお話です。

ストーリーとしては、卒業を控えたジェイミーがプロムにドレスを着ていくために親友やクラスメイトにカミングアウトをするけれど、受け入れられる一方で壁にぶつかり、自信を失うけど、最後は自分自身と向き合ってプロムに参加するという話。

パンフレットにモデルになったジェイミーとキャストの対談が載っていたんですけど、そもそもジェイミー自身がドキュメントになった経緯が「プロムにドレスを着て行きたかったけど反対する人がいるのも分かってた。ドキュメントのカメラが入ったら自分のこと嫌いなやつも流石に殴ってきたりはしないだろうと思ったから。」みたいなことを言ってて、いやゴリラの経緯なんよ。母親も「ジェイミーの安全が保障されたので良かった」っつっててバリ強の親子で良かった。

 

舞台のジェイミーは夢は大きいけれど自分に自信がなく、だけどその分褒められたり肯定されるとちょっと調子に乗りやすい男の子で、思春期そのものって感じ。自分を肯定してくれる家族や親友のプリティの前ではめちゃくちゃおしゃべりで、すーぐ調子乗っちゃうのがめちゃくちゃ高校生なんですよね。

とても可愛いけど危うさも内包していて、その危うさが結局自分自身を傷つけてしまうことになるのは本当に観ていてアーッ!!ってなった(語彙)。最初は頑張れ頑張れって思うんだけど、中盤から明らかに調子乗ってそれが行動力に変換されてしまうからやめろ…やめろ……アカン……ってハラハラする。

パンフレットで演出家の方がそれをイカロスの翼に例えていたけれど、本当にそのくらいの危うさがある。だけど、だからこそ最終的に自分自身で本当の翼を見つけたジェイミーはとても強いし美しいしものすごく魅力的なんですよね。本当に愛らしい男の子だった。

Wキャストをそれぞれ観たんですが、髙橋颯くんのジェイミーは抜群にキュートで可愛くて思わず手を差し伸べて守ってあげたくなるようなジェイミー、森崎さんのジェイミーは揺らいでる中でも譲りたくない芯の強さが感じられるような美しくてセクシーなジェイミーだったな~という印象。しかし2人ともハイヒール履いた脚がめちゃくちゃ強そうで良でした。特に髙橋颯くんが筋肉標本みたいな筋肉してて脚しか見れなかった。ジェイミーが初めてハイヒールを手に入れた日に歌うナンバーがあるんですけど、初めてハイヒール履いたのに厚底15センチのハイヒール履いてしゃがんで歌うの、2人とも体幹バリ強すぎだった。普通できんて。

 

 

ジェイミーはゲイなので、LGBTQがテーマの作品だと思われがちというかまぁ実際そうはそうなんだけど、私自身はそれだけじゃないと思っていて、劇中で描かれるジェイミーだけに限らない、それぞれの生きづらさや将来の不安やアイデンティティの揺らぎって多かれ少なかれ誰もが感じてきたものだし、それに対する救いがないとは言わないけど結局自分次第だよね、みたいな妙なリアルさも、全く違う国の全く違う人の物語のはずなのに、どこか自分も理解できるような共感性があるなと私は思いました。

親友のプリティも、いじめっ子のディーンも、誰かとは違うことを自分の価値にしながら、その異質に不安を抱いたり恐れたりもするし、他人からの攻撃や些細な言葉でアイデンティティが揺らいだり、負けたくないと踏ん張ったりもする。その不安定さが本当に思春期ならではだと思うけれど、だけどその「何となく他人と自分が違う」と感じる周囲とのズレや感覚の違いって私はLGBTQに限らず誰でもあるものじゃないかなぁと私は思いました。それとどう向き合うか、どこで落としどころをつけるかっていうのは人間の永遠のテーマじゃないかな。ジェイミーもプリティもディーンも、セクシャルも違えば産まれも育ちも異なるけれど、結局根本的に抱いているものの本質は同じなのかなぁと。

ジェイミーには母親っていう誰よりも強い味方がいて、親友のプリティも「確かに変だとは思うけど、ちょっと変なのが私たちでしょう?」と背中を押してくれる。伝説のドラァグクイーン、ロコ・シャネルも同じ世界に飛び込もうとするジェイミーを導いてくれる。ジェイミーの周りは時に目を覆いたくなるくらい厳しいこともあるけど、いつでも愛を持って手を差し伸べてくれる存在がいてそれがめちゃくちゃ救われていたなぁと思いました。

お母さんと仲直りするシーン、本当になんかもうママ~~!!!!!ってなってめちゃくちゃ泣いてしまった。すごく仲が良くて、お母さん自身がすごくパワフルで、ジェイミーがジェイミー自身であれた一番の地盤でもあるけれど、お母さんもお母さんで弱さや心の傷を抱えながら必死で息子の為に強くあろうと生きているのも良かったというか、大人だって弱さや向き合えないものはあることを教えてくれるし、それは「ジェイミー」に出てくる大人たちみんなそうだから、本当に人間の根っこの描き方が共通しているところを見ると、やっぱりそこがジェイミーのもうひとつのテーマでもあるんだろうなと思いました。

 

しかしマジでみんなめっちゃ歌が上手いんですよね…(あたりまえ体操すぎる)。めいめいが本当に歌が上手すぎてめいめいの歌全部泣いちゃった。自分は醜いんだって落ち込むジェイミーを励ます歌があるんですけど、本当にその歌のサビの声の伸びがあまりに美しくて、ステージ上のめいめいを観ながらはらはらと涙をひたすら流すしかなかった……プリティが歌うナンバー、どれもすごく綺麗な声が活きる曲ばかりで素晴らしかったな……。
プリティもWキャストですが、めいめいのプリティは小動物みたいにワタワタぴょこぴょこしてて全部に一生懸命でめちゃくちゃキュートだったし、山口乃々華ちゃんのプリティは知的で上品で落ち着いたお姉さんって感じでここが一番対照的だった気がする。

プリティ自身も自分は夢の為に真面目に生きているのにそれをガリ勉って馬鹿にされてしまうような子で、だけど自分を見失わず、清廉潔白に生きている内面の美しさみたいなのとお2人の綺麗な声がすごくマッチしててプリティ~~!!!!!!!ラストのプロムでディーンを言い負かすシーン、後述するけどディーン的にはめちゃくちゃしんどいシーンだけどここのプリティが本当に誰よりも強くてカッコ良くて泣けてしまう。自分を見失いがちなジェイミーと、どこまでも自分を持ち続けるプリティの友情が本当に可愛くて良かった。プリティ大好きだな。

 

 

 

既に3000字超えてるのに、こっからが私が一番書きたい話なのでもう少し付き合って頂きたいんですけど………すみません……。いじめっ子のディーン・パクストンくんの話です。

 

 

 

やっぱりディーンにフォーカスを当ててしまうんですよね中の人が推しなので……。

ディーン、いじめっ子なんて可愛い言葉じゃすまないくらいガチの最悪なヤツなんですけど、ラストにディーン自身のアイデンティティや将来の恐れが露呈しまうところで、ディ~~~~~~~~~~~~ン!!!!!!!ってなっちゃう。いやそんなことで同情するのも許せないレベルでマジで最悪なんですけど……。

 

そもそもがジェイミーやプリティのような、ノリの悪い、自分たちとはちょっと違うタイプをキモいとかバカとか言って殴ったりみんなの前で弄ったり笑いものにしたりするのがもう~~最悪すぎる。でもクラスの中心的存在だからみんなも別にジェイミーやプリティのこと嫌いじゃないのに、同じノリで弄ったりするのがイヤ~マジでその雰囲気がしんどすぎる本当に。ノリは軽いけどリアルないじめの場面なんですよね。

ただそうやって執拗にいじめてくるのはディーンだけで、周りは別にただディーンのノリに付き合ってるだけ、っていうのも最初はとても醜悪に見えるけど、結局そこに本人たちの意思自体がないから逆を返せば別にディーンの味方でもなかったってところがラストに効いてくるのが残酷。

それってディーンの所謂イカロスの翼がもがれてしまった瞬間だったんだろうな。つい昨日までは自分の天下だったのに、今度は自分が異質扱いされて孤立する側に回ってしまうの、因果応報ではあるけど、多分それはディーン自身が一番恐れて戦っていたことでもあったのかなと思いました。

 

楽しみ過ぎてディーンのお二人のインタビューとか関連番組とかも全部とは言わんが一通り観たんですけど、お二人曰くお互い性格が正反対で、それがめちゃくちゃ役の解釈に活きてたな~と思いました。

佐藤さんはどちらかと言えばディーンの、例え周りから浮いてても夢を追いかける相手に嫉妬する人間の気持ちが理解できて、矢部さんはジェイミーのように周りと何となく違って浮いてしまうタイプだといろんなインタビューで言ってたので、そこを踏まえて観てたんですけど、そこが違うことでディーンが戦ってるものが全然違って見えたのが面白いなと思いました。佐藤ディーンはジェイミー自身というよりはジェイミーが手に入れようとしている自分が理解できないもの、分からないもの、手の届かないものに対して恐怖を抱いてそれが攻撃に変わっているように見えて、矢部ディーンはどちらかと言えば今まで一緒に過ごしてきた大人しくて変わり者のジェイミーが突然自分の知らない方へ走っていて自分が置いてけぼりになってしまう不安と戦ってるように見えたんですよね。

どっちもジェイミーと向き合うことで露呈しそうな自分の恐怖や不安から目を背けたいがためにそれがジェイミーへの攻撃に変わってしまうことは変わりないけど、その戦っているものは全然違っていたような気がする。ディーンは実は何者でもなくて、何者にもなれなくて、だけど自分の夢も居場所も手に入れられるジェイミーを、そのジェイミーにとって何者でもない自分を認めたくなかったのが、あ~ディーンマジでしんどいな~~ってなった。だからといっていじめはダメですけど………。

 

ジェイミーはドラァグクイーンの「ミミ・ミー」というもう一人の自分としてステージに立つことで一躍クラスの人気者になるんですが、その「ミミ・ミー」という存在をちゃんと理解できているのって実はプリティとディーンだったのかな、と思った。

プリティは「ミミ・ミー」ではなくジェイミー自身と向き合ってその気持ちに耳を傾けようとしてくれていて、ディーンはクラスメイトたちが「ミミ・ミー」ではなく「ジェイミー」がすごい!となってる中で唯一「ミミ・ミー」の名前を呼ぶんですよね。「ミミ・ミー」が人気者になったことでジェイミー自身が支えられていることを、ディーンは自覚があるのかないのかは分からないけど認識して、「ミミ・ミー」の存在を潰すことが一番ジェイミーを傷つけて立ち止まらせることができるって理解してる。それって逆を言えば、めちゃくちゃジェイミーのこと理解してんじゃん……みたいな……。

元々は11年生まで一緒にスクールで過ごしてきた友人で、だからこそジェイミーもディーンを理解して許すことが出来たんだろうけど、それにしたってマジでクソ最悪ないじめっ子のくせに持ってる感情がデカすぎてディ~~~~~~~ン!!!!ってなってしまうな……。いじめはダメだけど…(2回目)。

 

あと別に私金髪が特別に好きというわけではなかったんですけど、ディーン・矢部・パクストンくんのブロンドはマジで最高だなと思いました。前向いてたら顔が可愛くて後ろ向いたら刈り上げが可愛くて360度全部可愛いのもとても良かったです。ビジュアルが最高。どの衣装もめちゃくちゃ似合ってて永遠にビジュアルに沸けてるからすごい。可愛い。

 

 

 

 

ストーリーだけだとなんかすごく社会派!みたいなイメージ持たれそうだけど、そうなんだけどそうじゃなくて、本当に誰もが感じたことのある生きづらさや自分自身の揺らぎみたいなものをジェイミーに限らず登場人物全員が持っていて、それに対する救いや未来を感じさせる優しい物語だな、と私は思いました。曲も良かったし楽しかった。

たま~に英訳もうちょっとどうにかならんかったんかみたいなセリフや歌詞はあるけどまぁご愛敬だよね。下ネタ結構あるのも文化だな~と思った。推しのセリフ一発目がド下ネタなのはウケるじゃん……。

 

 

 

昨日は昨日でエビライの代替になるトーク番組を友達と通話しながら見てたんですけど、それもそれでめちゃくちゃ楽しかったから時間があれば感想書きたい。

色々心配事はあるにはあるんですが、私がひとりで心配しててもどうにもならんことだし、なるようにしかならないので、推しや周りの好きな人たちの好きな人たちみんなが健康で幸せであることを願うしかないですね。皆様も健康でありますように。