世界で一番推しが好き!

たのしいおたくのせいかつ

読『芥川龍之介地獄変』

感想っていうかリモート演劇について考えてみたみたいな記事です。


芥川龍之介なんて教科書レベルでしか読んだことないので、「地獄変」も「ヤバイ絵かきの話」くらいのざっくりした知識しかなかったし、私はあのどうにも胸糞の悪い人間の本性を見せられる感じがどうにも好きになれないので観劇にあたり読み返す気にもなれなかったのだけど、個人的には読んどいたほうが良かったのかな~と思った。まぁ原作を読まないと伝わらない舞台は2.5でやられたらクソやな!と評価する側なので、文学作品であっても同じであって欲しいとは思う。

ただ、その原作や出典、芥川龍之介についての分からなさを差し引いたとしても、観劇後久しぶりにお芝居を観た!観劇した!っていう満たされる感覚はうれしかったな。


先に観劇した友達に「部屋を真っ暗にして観るといい」と勧められたので、iPadじゃなくてちゃんとデスクに座ってPCをつけて部屋を真っ暗にして10分前に待機した。23時っていう激遅な開演時間のせいで窓の外も静かで真っ暗、家の中も静かで真っ暗、イヤフォンに繋がったさぁさぁと静かな雨の音と待機用の映像の前で久しぶりに「観劇する」って感覚になってすごくドキドキした。

以前に観た「インターネット公演『要、不急、無意味(フィクション)』 - 世界で一番推しが好き!

」は、明るい時間にリビングでiPadで、日常の延長線上で観ることに意味があったと私は思っているのだけど、今回はまた違って、遅めの開演時間もそうだけど、そういう自発的に観劇する環境を作り込む、作り込める状況があるというのはすごく良かったなと。

なんか「観劇する」っていう感覚になったとはいえ、やっぱり「観劇」とはまた違うんだな~とも思った。ひとりきりで集中してじっと朗読される情景に神経を傾けるのは、少し読書に近い感覚があるのかもしれない。それでも読書は読むスピードや文章から感じる熱や圧は自分の感覚次第なところに対して朗読はやっぱり役者さんのお芝居にその辺を委ねなきゃいけないから必ずしもイコールではないんだけど。

キャストの皆さんも真っ暗な部屋で白いシャツというとことん色彩のない中でのリモート公演だったけど、なんていうか、いやそんな状況で観る地獄変めっちゃこわ。話がそもそも怖いもんな。

娘役が福圓美里 さんの回を見たのだけど、あの楚々として静かだけどよく通る綺麗な声がすごく素敵で良かった。静かな声が朗読劇全体の仄暗い静かな雰囲気に合っててめちゃくちゃドキドキしたな……あと米原さんが地獄変の様を一気に畳みかけるように語るシーンが一番好きで、ゾクゾクするくらい圧倒されて、これこれ!!!これだよ!!!!ってワクワクした。私はお芝居を観るとき、舞台からわっと吹き飛ばされるんじゃいかって圧倒されるような感覚を感じてあーーーーー!!舞台!!!(大の字)ってなる瞬間がめちゃくちゃ大好きなんだけど、それを米原さんのシーンでは感じられて、リモート演劇でもこれを感じられるんだ~~~サイコ~~!!!ってジタバタしてしまった。リモートだからジタバタしても誰にも迷惑かけない!これはリモートの良いところです。

あと、朗読劇ではあるのだけど、カメラがキャストひとりひとりにあることで、舞台で朗読劇を見るよりも表情や感情の機敏は視覚的にダイレクトに伝わってくるなと思った。どちらかといえばドラマに近いというか。朗読劇ってすごく観る側の想像力に委ねられる部分が大きいと思っていたけど、その想像力を視覚で補えるのはリモートならではなのかなと。

ストーリーは「地獄変」だけじゃなくて、そこに芥川龍之介の「歯車」も入ってたらしいんだけど私「歯車」読んだことないからわかんなかったんだよね。地獄変じゃない、時系列の違うシーンがあるな~とは思ってたけど、そういうのすぐ流して観ちゃうから気にならなかったんだけど、後半もう一度その時系列が違うシーンになった時に、あっ!!あー!そういうことねなるほど?!ってなったけど、そのシーンに限らず、作中もそうだけど、登場人物の切り替えが分かりにくかったところはどうにかならんかったかな~と思った。私の理解力が足りないと言われたらそれまでなんだけど、でもやっぱり初心者であっても理解できる公演ではあってほしいし、せっかく作品としては良いのに、そういう「今これは誰なんだ?どういうシーンなんだ?」みたいなものに神経が持ってかれてしまうのはもったいないよね。

なんか以前に観た「要、不急、無意味(フィクション) 」は、先にも書いたけど、劇場ではない環境で観ることに私はすごく意味があったと思って、だけど同じリモートで観る演劇なのに今回の電脳地獄変は「観劇」にすごく近い感覚で観れたのは、リモート演劇っていろんな見せ方や可能性があるのかなって私は思いました。

なんかやっぱりリモート観劇ってどうしても劇場で観ることと全く同じ環境にすることは不可能なわけで、だけどその中でその環境ひっくるめて色んな観劇の仕方ができるって考え方もできるし、それを逆に活かすこともそこまでひっくるめての演出にすることも出来るのかな~って思って、いよいよリモート演劇楽しくなってきたかもしれない!

やっぱり劇場で、舞台で、特別な空間で特別な時間を過ごせてこその観劇って思ってるし、早くそうまた思える時間が来てほしいって思うけど、それでも色んなこういう試みが出てきて楽しませてもらえると、可能性って本当にいろんな所に落ちているんだなと。まぁ劇場で観れるのがやっぱり一番いいんだけど!(2回目)それでも例えばまた劇場で観られることが当たり前になったあとでも、こういうリモート演劇っていう形も残っていくのかな~いったらおもしろいのにな~とは思います。ライビュとか配信とかとはまた違った「観劇」なんですよね。劇場じゃ無理な開演時間とか、こっちの日常にフィクションが侵食する感じとか、それはもうリモート演劇でしか味わえない感覚だし、もっともっといろんな形で楽しめるんじゃないかな~と思います。



というタイミングで!推しが!リモート演劇をするぞ!!!

 あらすじを見る限りコメディっぽいし、朗読劇でもないし、ドラマ形式なので、また今までみたリモート演劇とは違う形で観れそうだし、このリモート演劇の楽しさがちょっと分かってきたタイミングで観れるのもすごくうれしい!たのしみだな~~。

 

配信とかいつでも観れる系、逆に再生ボタンまでが遠い説はあるあるだと思うんだけど、この「観る時間が決まってる」「お金を払っている」って割と私には強制力が強くなるので自堕落でケチな私には向いてるな~と思います。刀ミュもそうだけど時間決まってて今しか見れない!ってなると結構観るよね。